なぜWordPressが狙われやすいのか
WordPressは世界のWebサイトの約40%以上で使用されている、最も人気のあるCMSです。しかし、その普及率の高さゆえに、ハッカーの格好のターゲットにもなっています。
「小さな会社だから狙われない」と思うかもしれませんが、攻撃者はサイトの規模に関係なく自動化されたツールで脆弱性を探しています。対策は全てのサイトに必要です。
1. WordPress本体を常に最新版に
WordPress本体のアップデートには、機能追加だけでなくセキュリティの修正も含まれています。古いバージョンのまま放置すると、既知の脆弱性を突かれるリスクが高まります。
アップデートの注意点
- 自動更新を有効に - マイナーアップデートは自動更新がおすすめ
- 更新前にバックアップ - 万が一に備えて必ずバックアップ
- テスト環境で確認 - 大きなアップデートはテスト環境で先に確認
- 更新情報をチェック - 重大な脆弱性は緊急アップデートが配布される
2. プラグイン・テーマの管理
プラグインやテーマの脆弱性も攻撃の入口になります。使っていないものは削除し、使っているものは常に最新版に保ちましょう。
プラグイン管理のポイント
- 使っていないプラグインは「無効化」ではなく「削除」
- 長期間更新されていないプラグインは代替を検討
- 信頼できる開発元のプラグインを選ぶ
- 必要最低限のプラグイン数に抑える
非公式サイトからダウンロードした無料のプレミアムテーマ・プラグインにはマルウェアが仕込まれていることがあります。公式ディレクトリか正規販売元から入手しましょう。
3. 強力なパスワードを設定
単純なパスワードは総当たり攻撃(ブルートフォース)で簡単に破られます。管理者アカウントには強力なパスワードを設定しましょう。
強力なパスワードの条件
- 12文字以上の長さ
- 大文字・小文字・数字・記号を組み合わせる
- 辞書に載っている単語を使わない
- 他のサービスと使い回さない
- パスワードマネージャーの利用を推奨
弱いパスワード例
password123, admin2024, company名
強いパスワード例
Kx#9mL$2vQ8nP@wZ
4. セキュリティプラグインの導入
セキュリティプラグインを導入することで、様々な攻撃から自動的にサイトを守ることができます。
Wordfence Security
ファイアウォール、マルウェアスキャン、ログイン試行制限など包括的な保護を提供。無料版でも十分な機能。
SiteGuard WP Plugin
日本製のセキュリティプラグイン。管理ページへのアクセス制限、ログインロックなどシンプルで使いやすい。
Sucuri Security
マルウェアスキャン、ブラックリスト監視、セキュリティ強化など。有料版ではWAF機能も。
5. ログインページの保護
WordPressの管理画面ログインページ(/wp-admin, /wp-login.php)は攻撃者にとって最も狙いやすいポイントです。追加の保護を施しましょう。
ログイン保護の方法
- ログイン試行回数の制限 - 複数回失敗したらロックアウト
- 二段階認証の導入 - パスワード+認証アプリ
- ログインURLの変更 - デフォルトのURLを変更
- CAPTCHA(画像認証)の追加 - ボット対策
- 「admin」ユーザー名を使わない - 推測されやすい
6. 定期的なバックアップ
万が一ハッキングされた場合や、更新でサイトが壊れた場合に備えて、定期的なバックアップは必須です。
バックアップのポイント
- データベースとファイルの両方をバックアップ
- 最低でも週1回の自動バックアップを設定
- バックアップデータはサーバー外にも保存
- 複数世代のバックアップを保持
- 定期的に復元テストを実施
「UpdraftPlus」や「BackWPup」などの無料プラグインで、Google DriveやDropboxへの自動バックアップが設定できます。
7. SSL証明書の導入
SSL証明書を導入すると、サイトとユーザー間の通信が暗号化されます。「http://」から「https://」になり、ブラウザに鍵マークが表示されます。
SSLのメリット
- 通信の暗号化 - 個人情報の盗聴を防止
- 信頼性の向上 - ユーザーに安心感を与える
- SEO効果 - Googleがhttpsを推奨
- ブラウザ警告の回避 - 「保護されていない」警告が出ない
多くのレンタルサーバーでは無料のSSL証明書(Let's Encrypt)が利用できます。まだ導入していない場合は、すぐに設定しましょう。
まとめ
- WordPress本体は常に最新版に更新
- 使わないプラグイン・テーマは削除
- 強力なパスワードを設定(12文字以上)
- セキュリティプラグインを導入
- ログインページに追加の保護を設定
- 週1回の自動バックアップを設定
- SSL証明書を導入してhttps化
セキュリティ対策は「やりすぎ」ということはありません。これらの基本的な対策を実施することで、多くの攻撃からサイトを守ることができます。自分で対応が難しい場合は、専門家に相談することをおすすめします。
